エラボトックスで噛む力は落ちる?食事への影響といつまで続くかを解説
エラボトックスのあと噛む力は一時的に落ちることがあり、研究では数か月かけて戻る流れが報告されています。食事の工夫、副作用、旅行の日程との合わせ方をまとめました。
エラボトックスのあと、噛む力は一時的に落ちることがあります。エラの張りを目的とした2036回の施術の記録では、611回(30%)で一時的な咀嚼力(そしゃくりょく)の低下が報告されています。
いつまで続くのか。顎の筋肉の痛みに対して咬筋と側頭筋の両側に合計50単位を注射した臨床研究では、噛む力の有意な低下は11週まで見られ、予測モデルでは25週で完全に回復したと報告されています。
旅行の一日を使ってエラボトを受けたい。でも焼肉や食べ歩きに響かないか、顔がこけて見えないかが気になる。本記事では、仕組み、食事の工夫、戻り方、副作用、旅行の日程との合わせ方を、診察で説明する順に整理します。
忙しい方のためのこの記事の要約
- 噛む力が一時的に落ちることはあります。弱めるのは咬筋で、こめかみや顎の内側の筋肉は働き続けます。
- 研究では、下がった噛む力が数か月かけて戻る流れで報告されています。
- 硬いもの、弾力のあるものを噛み続けると、顎が先に疲れることがあります。
- 頬がこける、噛むと一部が膨らむといった副作用は、打つ位置と層の配分で起こりにくくする工夫があります。
- 睡眠麻酔を使った日でなければ、施術後の飛行機を理由に予定を延ばす必要はないと考えています。
エラボトックスで噛む力は落ちる?弱めるのは咬筋の力です
落ちることはあります。ただし弱まるのは、噛む筋肉のうちエラの張りをつくる咬筋(こうきん)の力です。
ボトックスは、筋肉に届く「縮め」という合図を一時的に届きにくくします。その結果、注射した筋肉が出せる力が下がる。つまり力が落ちること自体は、この施術が狙っている作用です。
ただ、顎を閉じて食べ物を噛み砕く仕事は咬筋だけのものではありません。こめかみに広がる側頭筋(そくとうきん)と、顎の内側の翼突筋(よくとつきん)も力を分け合っています。エラボトで狙うのは外から目立つ咬筋なので、ほかの筋肉はこれまでどおり働きます。
冒頭の臨床研究は、痛みの治療として側頭筋にも注射しています。美容目的のエラボトとは注射する筋肉も目的も違うため、その数字を自分の予定表にそのまま写すことはできません。
診察では、まずエラの張りが筋肉によるものか、骨格や脂肪によるものかを分けて見ます。筋肉が中心なら、次は量の選び方です。咬筋に十分な厚みがあり、普段あまり硬いものを食べない方は標準的な設計で。噛む力の変化をできるだけ小さくしたい方や、硬いものをよく食べる方は、量を控えめにして変化を見る選択肢もあります。

エラボト後のご飯はどうする?硬いもの・弾力のあるものの注意
食事は「何を食べるか」より「どれだけ噛み続けるか」で考えると分かりやすくなります。
変化を感じやすいのは、イカやスルメ、弾力のあるお肉、硬いナッツのように、一口ごとに長く力を使う食べ物です。一口目は平気でも、噛み続けるうちに顎のほうが先に疲れてくる。ごはんや汁物、やわらかいおかずでは差を感じにくい傾向があります。
噛む力が落ちている時期は、次のような工夫で顎の負担を下げておきましょう。
- 一口の大きさを少し小さくする
- 硬いもの、弾力のあるものは、噛みにくさを感じる間は量を控える
- 片側だけで噛む癖があれば、左右を交互に使う
痛みがある、口が開きにくいなど、いつもと違う症状があるときは、様子を見ずに施術を受けた医療機関へご相談ください。

噛む力の低下はいつまで続く?何日で効く?
研究では、噛む力は注射のあと下がり、数か月かけて元に戻る流れで報告されています。
冒頭の臨床研究では、注射から2週の時点で最大咬合力(さいだいこうごうりょく)に22%の低下が見られました。
同じ論文の序論では、注射後3〜6か月で筋肉の働きが戻ると一般に考えられている、と整理されています。
見た目のほうは、咬筋のボリュームの減少が注射から数週間のうちに目立ってくるとまとめられています。
何日で効くか、いつまで続くかは、入れる量、咬筋の厚み、普段の噛み方の三つで変わります。筋肉の厚みに対して量が多すぎると、望む輪郭より先に力の抜けを感じやすくなると考えられます。だから量は、筋肉を触って厚みを確かめてから決めます。

副作用とリスク 頬がこける・噛むと膨らむのはなぜ?
頬のこけと、噛んだときに一部が盛り上がる膨らみは、どちらも報告のある副作用で、打つ位置と層が関わります。
先ほどの2036回の記録では、頬のこけ(頬骨の下のボリューム減少)は9回(0.44%)、逆説的な膨らみは10回(0.49%)で報告されています。
膨らみについては、咬筋の浅い層の中にある幅の広い腱が関係していると考えられています。
この腱の下に注射すると薬が浅い層の筋線維まで広がりにくく、働き続ける浅い層が代わりに力を出して盛り上がることがある、と説明されています。
予防として、腱の上と下に均等に間隔をあけて注射することが勧められています。
同じ記録の著者は、筋肉の中の安全域に注射を限り、理想的には縁から少なくとも1cm離れた3〜4か所に分けることが合併症の予防に重要だと述べています。
顔がこけて見えないか心配な方は、診察で最初にその点を伝えてください。もともと頬骨の下が薄い方は、そこを確認したうえで打つ位置と量を決めます。左右差や膨らみ、強い痛みなど気になる変化があれば、自己判断で放置せず医師に相談しましょう。

旅行の日程の中で 食べ歩き・飛行機・帰国後のこと
睡眠麻酔を使った日でなければ、施術後の飛行機の予定を理由に施術を先に延ばす必要はないと考えています。
観光や写真への影響は、もう少し慎重に見ます。注射の跡や内出血が出ることもあり、内出血は先ほどの記録で51回(2.5%)に報告されています。写真の予定がある日程なら、相談のときに日付を伝えてください。
食べ歩きの予定はどうでしょう。噛む力の変化は少しずつ出てくるものです。滞在中のグルメ予定との兼ね合いは、日程を伝えていただければ相談のときに一緒に考えます。帰国後に硬いものを噛む機会が多い方は、その生活に合わせて量を相談します。
一回の来院にも意味があります。エラボトは注射そのものは一回で終わり、変化は大きく一度にではなく、少しずつ現れてきます。続けるかどうか、次をいつにするかは、帰国後の変化を見てから決めれば十分です。
帰国後に左右差や膨らみなど気になる変化が出たら、LINEに写真を添えてご相談いただけます。ただし強い腫れや痛み、口が開かないといった大きな変化があるときは、まずお近くの医療機関を受診してください。

まとめ 量より先に「どこに、どの層に」を確かめる
エラボトで噛む力が一時的に落ちることはあり、研究では数か月かけて戻る流れが報告されています。弱めるのは咬筋で、ほかの噛む筋肉は働き続けます。ただし、頬のこけや膨らみといったリスクもあるため、ご自身の筋肉の厚みと生活に合った量を医師と相談して決めることが大切です。
相談のときは、量と同じくらい「どこに打つか」を聞いてみてください。たとえば「咬筋のどの層に、何か所に分けて打ちますか」。腱の上と下への配り方まで答えが返ってくるかどうかで、仕上がりと副作用への考え方が見えてきます。
LINEでのご相談は、ソウル・合井のビューティーストーン医院の公式アカウントへどうぞ。日本人スタッフが在籍しているので、日本語でそのままご相談いただけます。最初のメッセージは「○月○日にソウルに行きます。エラボトを受けたいのですが、噛む力が落ちすぎないか心配です」の一文で十分です。正面と横顔の写真があると、話が早く進みます。
よくある質問
Q. エラボトックスで噛む力が落ちたと感じたら、どうすればいいですか?
A. 一口を小さくし、硬いものや弾力のあるものを噛む量を控えると、顎の負担を下げられます。片側だけで噛む癖があれば左右を交互に使いましょう。痛みがある、口が開きにくいといった普段と違う症状があるときは、施術を受けた医療機関にご相談ください。
Q. 少なめの量から始めることはできますか?
A. 相談できます。量は咬筋の厚みを触って確かめ、食いしばりの有無や普段の食事も聞いたうえで決めます。噛む力の変化をできるだけ小さくしたいという希望は、診察の最初に伝えてください。
Q. 食いしばりや顎の痛みの治療と、エラボトは同じ注射ですか?
A. 使う薬は同じボツリヌストキシンですが、目的と注射する筋肉が異なることがあります。顎の痛みの治療では、咬筋に加えて側頭筋に注射する方法が研究されています。どちらを目的にするかで設計が変わるため、気になる症状があれば診察で伝えてください。
Q. エラボトのあと、頬がこけて見えることはありますか?
A. あります。報告のある副作用の一つで、打つ位置や量が関わると考えられています。もともと頬骨の下が薄い方は、診察でその点を確認したうえで位置と量を決めます。気になる変化があれば、自己判断で放置せず医師に相談しましょう。









